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言われてみれば、単純で。
第3章 俺と君は、曖昧で。01
「今日の晩御飯なんですか?」

「カレー」

「また?先輩カレー好き過ぎじゃないですか?」

「俺、これしか作れないの知ってるでしょ」

「カレーしか作れないくせにご飯つくりに来るんですか?」

「え?こういえば金曜の夜でも家にあげてくれるじゃん」

キョーちゃんはいつも、そう言う。
そして俺はいつも、そう答える。
いつもの会話。そして、こう続く。

「まあ土曜になりましたけどね」

「キョーちゃん、金曜の25時でしょ?」

覚えてる? この話。
キョーちゃんが言い出したんだよ。

俺が最初に誘ったときに
「まだ金曜の25時です」
そう言って断ったでしょ。

俺、まだ根に持ってるからね。

そして話はカレーに戻る。

「キョーちゃん、忘れたの?
この間はドライカレーでその前はチキンカレーでしょ。
で、今回はシーフードカレー」

「カレーの王子さまですね」

「あ、このあいだ、それ姪っ子が食べてた。
俺、王子? じゃあキョーちゃん姫になる?」

「なりません。王子、早くカレーを作ってください」

「りょーかいです」

「深夜にご飯とか絶対太りますよ」

「まあいいじゃん。カレー好きなんでしょ」

「それは仕方なしにそうなっただけです」

「そうだっけ?」


俺のためにカレー好きになってくれたんだもんね。
知ってる。忘れるわけないじゃない。
でも、忘れた振りして今週もまたカレーを作る。
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