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言われてみれば、単純で。
第4章 俺と君は、曖昧で。02
いつも通りワインを飲みながらだらだらと過ごしていた。
キョーちゃんの耳元には俺が誕生日にあげた彼女お気に入りのブランドのピアスが光っている。

これを渡したとき彼女は少し困惑していたが無理矢理耳につけてやった。
そのときからそのピアスはいつもそこにある。
それを見るたびにいつかあげたキーホルダーを思い出している。
彼女はあの時も文句を言いながらもそれを外す事はなかった。


「キョーちゃん、ワインとって」

「嫌ですよ。本読んでますから」

「キョーちゃんの方が近いじゃん」

「自分のでやって下さいよ」

「じゃあちょっと此処通るよ」

彼女とローテーブルの隙間を通ろうとしたときそれは起こった。

大きな音をたててワイングラスがひっくり返る。
それを受け止めようとした俺の腕がグラス一杯にあったワインを浴びる。
そして受け止めれなかったグラスが反動により再び高く舞ってキョーちゃんの頭にダイブ。
キョーちゃんがグラスを受け取ったためそれは割れなかった。

まさしく不幸中の幸い。
このグラスは薄く作られているから多分見掛けより高価なものだろう。

「グラス、割れなくてよかったね」

「ですね。で、丹羽先輩、言いたいことはありませんか?」

「ごめんなさい」

「はい。そうです。
まあ、私が怠けたせいなので私もごめんなさい」

ワインが床に広がりながらも冷静なキョーちゃん。
周りにこのワイン独特のブラックチェリーのような香りとアルコール臭さ。そして鉄に似た香りが広がる。

今日のワインは赤ワインだった。

テーブルと床を拭き終わったキョーちゃんは軽く頭がパニックになってる俺を見上げてる。
冷静に分析しているように見えても俺は情けないことに身体が固まって動けないでその場で棒立ちしていただけだった。
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