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言われてみれば、単純で。
第6章 言われてみれば、単純で。
ガラスポットをソファの前にあるローテーブルに運んだ。
化粧品と、鏡が出しっぱなしだったのでそれを少し端に移動させる。

カップのある場所も知っているのでそれも並べた。
ソファの上にあるシャツを隅に追いやって、いつもの場所に座る。

やっぱりこのソファはなんだか心地いい。
少し気まずい気分ではあるものの、ここに座れば少し落ち着いた。

リビングから戻ってきたキョーちゃんは珍しい服装。
少し大きめのパーカー。そんなの、持ってたんだ。

キョーちゃんの定番はブラウス。シャツ。
冬にはそれにカーディガンかジャケットを羽織る。
夏でもポロシャツ。いつも少し堅苦しい服装をしていた。
Tシャツ姿もレアなくらいだ。

だから、こんなラフな格好はすごく新鮮だった。


「こんな格好で、ごめんなさい。
シャツ、アイロン掛けてあるの、なくって」

あれだけ毎週欠かさず大量のシャツをアイロン掛けてたのに。
珍しすぎる。

「構わないよ。それより腕、大丈夫?」

「はい。もう大丈夫そうです。
丹羽先輩が居てくれてよかったです」

「キョーちゃんはしっかりしてるのにどこか抜けてるときあるよね」

「そんな事ないと思うんですけど。
丹羽先輩がそう言うなら、そうなんでしょうね」

キョーちゃんはいつものように俺の隣で床に座った。
少し大きめのパーカーから指先しか見えなくて、なんか、可愛かった。

「これは千日紅っていうお花です」

「センニチコウ?」

「そうです、千日紅。夏に咲く、一年草」

「相変わらずの博識だね」

キョーちゃんは、そのジャスミン茶をカップに注いだ。
すこしずつ、2つのカップを何度も往復させて注ぐ。
確か、そうすれば濃さが同じくらいになるんだっけ。
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