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言われてみれば、単純で。
第1章 おれのきもちはフクザツで。
今日は水曜日。
キョーちゃんが図書委員の当番の日だ。
俺は急いで図書館に向かう準備をしているとクラスメイトの友人が「随分とご執心ですね」って笑ってた。
勿論。俺はキョーちゃんに惹かれて、それにこだわってるからね。いつまで経っても読めないキョーちゃんは面白い。
「キョーちゃん、何してんの?」
「先輩はいつも図書館に来ますね」
「うん。水曜日だけだけどね」
「ストーカーですね」
「そうかもね。
で、なにしてんの?」
「先輩こそ図書館に何の用ですか?」
「キョーちゃん一人で居るんだろうなーと思ってちょっと遊びに来た」
「じゃあ、サッカーで遊んで下さい」
「一緒に遊んでくれるの?」
「校庭に後輩部員いっぱい居るじゃないですか」
「えー、やだー」
誰が寂しくてあんなむさ苦しいヤロー共と玉蹴りしなきゃいけないんだよ。
それに部活なんて、とっくに引退した。
まあ、たまにはしてますけど。
「丹羽先輩、私宿題してるんで邪魔しないでください」
キョーちゃんは数学のノートと教科書を広げていた。
「俺、すーがく結構得意だよ」
「奇遇ですね。私もです」
教わる必要はないみたいで、どんどん筆が進んでいく。
このとき、キョーちゃんは意外と字が汚いことを知った。大人しい子は字が綺麗だと思っていたのに裏切られた。でもキョーちゃんの秘密を知った、そんな得した気分になった。
そして数学の宿題を終えると、鞄から別のノートと教科書を数冊取り出して俺に見せる。
「丹羽先輩。どうせなら、こっち教えて下さい」
「古文は苦手」
「じゃあ、歴史は?」
「歴史は日本史だけなら」
「これ、世界史です。使えない先輩ですね」
「使おうと思ってくれた事が嬉しい」
「そうですか。私は嬉しくないです」
彼女は教科書をペラペラと捲りながら宿題と戦っていた。
その横で本を読む。それが妙に結構心地いい。
キョーちゃんが図書委員の当番の日だ。
俺は急いで図書館に向かう準備をしているとクラスメイトの友人が「随分とご執心ですね」って笑ってた。
勿論。俺はキョーちゃんに惹かれて、それにこだわってるからね。いつまで経っても読めないキョーちゃんは面白い。
「キョーちゃん、何してんの?」
「先輩はいつも図書館に来ますね」
「うん。水曜日だけだけどね」
「ストーカーですね」
「そうかもね。
で、なにしてんの?」
「先輩こそ図書館に何の用ですか?」
「キョーちゃん一人で居るんだろうなーと思ってちょっと遊びに来た」
「じゃあ、サッカーで遊んで下さい」
「一緒に遊んでくれるの?」
「校庭に後輩部員いっぱい居るじゃないですか」
「えー、やだー」
誰が寂しくてあんなむさ苦しいヤロー共と玉蹴りしなきゃいけないんだよ。
それに部活なんて、とっくに引退した。
まあ、たまにはしてますけど。
「丹羽先輩、私宿題してるんで邪魔しないでください」
キョーちゃんは数学のノートと教科書を広げていた。
「俺、すーがく結構得意だよ」
「奇遇ですね。私もです」
教わる必要はないみたいで、どんどん筆が進んでいく。
このとき、キョーちゃんは意外と字が汚いことを知った。大人しい子は字が綺麗だと思っていたのに裏切られた。でもキョーちゃんの秘密を知った、そんな得した気分になった。
そして数学の宿題を終えると、鞄から別のノートと教科書を数冊取り出して俺に見せる。
「丹羽先輩。どうせなら、こっち教えて下さい」
「古文は苦手」
「じゃあ、歴史は?」
「歴史は日本史だけなら」
「これ、世界史です。使えない先輩ですね」
「使おうと思ってくれた事が嬉しい」
「そうですか。私は嬉しくないです」
彼女は教科書をペラペラと捲りながら宿題と戦っていた。
その横で本を読む。それが妙に結構心地いい。