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第1章 おれのきもちはフクザツで。

「キョー。また丹羽先輩」

またって、なんだよ。
今朝は、階段近くの廊下でキョーちゃんが友達と話していた。

キョーちゃんの後ろから近づいたら彼女の向かいにいた友達がそう言って彼女に俺の存在を知らせる。
キョーちゃんの振り向いた顔は少し面倒そう。でもまあ、気にしない。

「キョーちゃん　おはよ！」

「丹羽先輩、お早う御座います。今、友達と話してるんで」

「うん。知ってる。おはよって言いたかっただけ」

「それは有難う御座います。お早う御座いました」

「うん。おはようございました」

俺は自分の教室に向かって階段に向かう。

「キョー。丹羽先輩に冷たすぎ」

「あの人はあの位が嬉しいんだと思うよ」

「そうなの？」

「多分」

あの、その会話、聞こえてるんですけど。
キョーちゃんは俺に対してのみ冷たいという事が分かった。