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言われてみれば、単純で。
第6章 言われてみれば、単純で。
「あの時、距離を置こうとしたのはなんでなの?」

「丹羽先輩がグレーな状態は嫌いって言ったじゃないですか」

「は?」

「ぼやけたのは嫌いなんですよね?」

「...パスタの話?」

「私たちの関係の話です。白黒ハッキリさせたいって」

「あの言葉、そう受け取ったの?」

キョーちゃんと俺はあの時とても噛み合わない会話をしていたようだった。
俺はキョーちゃんの料理を褒めたつもりでいたのに対して彼女は俺たちの関係を、俺に対する態度を咎められていると感じていた。

「だから、勢い余って行動した後で、我に返ってどうしていいか分からなくなって。
丹羽先輩に 好き は通じないだろうし。
逃げ出したのはいいんですけど、でもやっぱり、落ち着かなくて。
何も考えたくなくて。考えたくないのに、丹羽先輩のことしか、考えれなくて」

「キョーちゃん、それ。めっちゃ可愛いね」

「そうやって茶化すんですよ、丹羽先輩は。
私がいつも戸惑ってるのに、そうやって上から見るんです」

「キョーちゃん、いつ戸惑ってたの?」

「何言わせるんですか、もう。常にです。
丹羽先輩と居るときは、いつも」


キョーちゃんの頬が赤くなって、俯いたままで。
ほんと、これ、中学生だよね。
俺たち、あの頃から何も変わってないんだね。

「あのね、キョーちゃん。
キョーちゃんが思ってるよりも、気持ち悪いくらい。
俺はキョーちゃんと、一緒に居たいと思ってるよ」

「嘘です」

「嘘じゃないよ。
キョーちゃん、これ見て」

お返しとばかりに俺はいつも鞄に入れてある定期入れを差し出した。
この中にずっとずっと大事に残してあるものがある。
さすがに定期入れは何度も買い換えたりしたが、この中のものは必ず、身に着けていた。


「なんですか?
これ、ただのボロボロの紙」

「キョーちゃんがくれた色紙。色紙じゃなくて地理のテストだけど。
図書室で、書いてくれたでしょ」

「まだ持ってたんですか?
もう、ぼろぼろになってるじゃないですか」

「毎日見てたからね。これと一緒に居たからね。
キョーちゃん。俺、めっちゃ勉強したよ」
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