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真選組 鮮紅血風録
第1章 男だらけの中に女の子1人の事を紅一点って言うじゃない?
その時。

土方【うるっせぇ――――!! 】

スパァンッ!!と障子が開かれ、これまた鬼の形相で怒鳴る人物が。

【ひぃっ!】

中庭の隊士全員が、真っ青な顔で立ち尽くした。

?【ひぃっ! じ、か…た…さん…】

あれ程怒鳴り散らしていた人物でさえ、ギギギ…とぎこち無い動作で後ろを振り返った。
視線の先には、瞳孔が開き気味の凶眼で睨みつけてくる男の姿。

土方【テメーら……真っ昼間から何盛り上がってんだぁ……?】

静かに尋ねて来る分、恐怖が増強していく。

?【い、いや…特に何もないんですけど…な、なぁ皆?】

【……】

既に、こちらを見ている隊士は誰一人居なかった。
全員が黙々と、掃き掃除やら庭木の手入れに勤しんでいる。

?【なすり付けんじゃねー! お前らも同罪だろーが!】

土方【なぁ、桐ぃ……】

ガシッ!!と凄まじい握力で頭を掴まれた。

?【ほぁっ!?】

土方【勤務時間中に楽しそうだねぇ~……俺も混ぜてくれよぉ~……】

ミシミシ…ミシミシ…と頭蓋骨が悲鳴を上げている。

?【はわわわわわわ……!】

土方【きぃ~りぃ~ちゃあ~んん~……?】

――――篠塚 桐。
今まさに真選組副長の土方十四郎に頭を潰されそうになっている、この人物の名前だ。
真っ青な顔に滝のような汗を流しながら、この世の終わりのような表情を浮かべている。

桐【ご、ごめんなさぁぁい……】

土方【……ったく、ごめんで済んだら真選組はいらねーんだよ。真っ昼間から足音と怒号の騒音公害撒き散らしやがって】

そろそろ指が頭に喰い込むという頃、土方はぽいっと捨てるように解放した。

桐【いたたたた……】

土方【なんだってンなうるせー足音立ててたんだよ。何か探してんのか?】

蹲って頭を押さえながら、桐は土方を見上げる。

桐【ああ……総悟探してます、近藤さんが呼んでるんで】

土方【総悟ぉ? だったら中庭のどっかに居んだろ。今日は一番隊が中庭掃除なんだからよ】

桐【いや、だから居ないんですって。皆に聞いたら、またどっかで居眠りしてんじゃねーかって言うもんで……】

土方【おめーらも何で総悟の居眠り止めなかったんだよ! ふざけてんのかオイ!? 斬っちゃうよ!?】

ビクゥッ!!!!と震え上がる隊士達を尻目に、桐は話を進める。

桐【で、総悟探してるって言ったらからかわれて……】
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