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ただ一つの一対
第11章 オマケ 奇跡の少女
 
「ねぇおじーちゃん、なにしてるの? えだ切ったら、お花かわいそうだよ?」

 少女は落とした枝を拾い集め、小首を傾げる。汚れのない目線に、則宗は邪魔された怒りすら忘れていた。

「これは……切らなきゃならねぇ枝なんだよ。切らなきゃ伸び放題になって、花に迷惑が掛かるんだ」

「ふぅん。ねぇおじーちゃん、いらないなら、これちょうだい!」

「ああ? 別に構いやしねぇが、何すんだそんなもん」

「んーとね、うちに持ってかえって、お庭にさしたら、このお花咲くかなって。だって、おじーちゃんのお花きれいだもん」

 無垢な少女の笑みに、則宗は今までに感じた事のない想いを抱く。則宗の中で女とは、抱ける女と抱けない女の二択であった。そして則宗は、少女に性的な感情を抱きはしない。だが胸に溢れるのは、抱擁し可愛がりたいと思う感情だった。

「お前……どこの子だ? ここにいるって事は、うちの組のもんだろうが」

「組? れんはね、さくら組だよ!」

 れん、とは、おそらく少女の名前だ。さくら組は、少女の通う保育園か何かの名前だろう。答えにはなっていないが、則宗は自然と少女の頭を撫でていた。
 
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