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ただ一つの一対
第11章 オマケ 奇跡の少女
 
「ああ、なんだよ」

「二人目の子が出来ました。孫が増える覚悟をしておいてください」

「二人目!? 男か、女か!?」

「さあ、それはまだ分かりません。女の子なら三年は会わせませんが、男の子ならすぐ連れてきますよ。次代の組長となるべく育てなければなりませんから」

 菊の子を後継者として認めるという事は、菊自身を認めるのと同じである。どこかへ消えた宗一郎にも子はいるだろうが、それを探し当てるのは難しい。嫌だと足掻いても、決断の時は迫っていたのだ。

「……女の子でも、本家にすぐ連れて来い。むしろ、お前の嫁と蓮を連れて本家に戻ってきたらいいだろう」

「僕が、ここに戻ってきていいんですか?」

「そうすりゃ、毎日蓮と顔を合わせられんだろ。お前の顔は癪だが、背に腹は変えられねぇ。戻ってきてもいいぞ」

「……結局は蓮目当てですか」

 菊は溜め息を漏らすと、首を小さく横に振る。

「お断りします。菖蒲は立場上内縁の妻であり、他の奥様方とは反りが合わない部分もあるでしょう。それにせっかく新婚生活を満喫しているのに、実家へ帰ったら気を遣うじゃないですか」
 
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