この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ただ一つの一対
第3章 ただ一つの欠陥
 
「片倉の奴は長いこと若のお付きらしいッスけど、若の子を産んだ事はないッス。となると、多分あいつは、若の遺伝子を受け入れられる体じゃないんスよ。だから仕事のパートナーとしては重宝されても、若の恋人にはなれないでしょうね」

 ふと菖蒲は、今日の朝菊が漏らしていた愚痴を思い出す。自分は子孫を残すなと神に決められた、などと話すのは失恋で荒れただけかと思っていたが、きっと心からの本音だったのだろう。

「もしこの先、子を産める女が現れたとしても、その人と相思相愛になれるかは分からないッス。もちろん相思相愛になった女が、若の子を宿せるかも分からないッス。一般的には普通の幸せも、若にとっては遠い幸せなんスよ」

 二人の間に、長い沈黙が流れる。心の内では感情が渦巻くが、それをどう言葉にすればいいのか分からなかったのだ。

「……だから、オレは可能性を狭めたくないッス。もちろん、子孫を残すだけが幸せじゃないし、若が特段不幸だとは思わないッス。けど、好いてくれる人がいるなら、試してみてもいいんじゃないかと」

 成実が非礼と分かってこんな話を打ち明けたのも、菊のためだ。菖蒲だって、それが分からないほど鈍くはない。
 
/219ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ