この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
甘い風
第11章 翔
「正直、親のどろどろ見せられた時、俺の両親、親じゃなくて男と女だったんだよね。俺なんて何にもできないし、俺いない方がいいんじゃね?って思ってた」

「そっか」
前髪を手で遊ばせながら翔は答える

「何?彼女んちも家庭不和なの?」

「まぁな」

「そんで愛が何だかわからないって感じ?」

「まぁ、そんな感じ」

「ふーん。俺は、どーせ、一人で生きていかなくちゃなって昔から思ってたなー」

「何で?」

「家族の意味がわからなかったし、誰も俺を必要としなかったから、かなぁ」

「そっかぁ」

「うん。ただ傷付けあうだけの人の集まり。早くそんな場所から出たかった」

「タケル、いい女に出逢えるといいな」

「ありがっと」

「お前、撮影ない日にうち来いよ」

「明日ならオフだよ」

「んじゃ、明日」

「愛の巣、当て付けられるわけねー」

「まぁな」

「どんな家よ?」

「シンプルで女って感じよりかは、無機質な家かなぁ。ガラスのテーブルと金属製のモノばっか」

「あ、わかる気がする。お前の彼女、なんか、そういうのが似合う」

「な。唯一、花が一本あったのが、アイツの女で人間の部分なのかなーって」

「なるほどね」

「何かお前と彼女、似てるなぁって思ってさ」

「ふーん」

「お前、俺は昔から知ってるからあれだけど、なかなか外に気を許さないし」

「それはお前もそーだろー」

「まぁな」

「お前、ハマってんな。こんなに女のこと考える翔ちゃん初めてみたわー」

「まぁな。俺も初めてだわ、こんなん」

「それが愛ってやつかねー?」

「どうだろうなぁ。まだまだ俺、小せーなーって思わされるわけよ」

「そんなもんかねー。ま、俺に似てるなら、一つ言えることは、逃げられないようにな」

「俺から逃げられる奴いると思うの?」

「まぁ、世界の木了だもんな。オヤジは」

「お前、ほんと痛いとこつくよなー」

「まぁな、俺くらいしかお前に言える奴いねーだろーしな」

「だな」

「ま、俺はしばらくは、このままだと思うよ」

「このままって?」

「一人ってこと。自分の幸せもわかんねーのに無責任に愛だの恋だの言えねーし」

「タケル、真面目だよな、そーゆーとこ」

「お前だって似たようなもんだろ」

「まぁな」

「ただ、翔ちゃんちの背景と俺んちの背景が違うだけでさ」
/147ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ