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甘い風
第12章 揺れる
オフィスへと
カツカツと歩く桜子

(翔は大人だわ。十分過ぎるほど大人。大学時代かぁ、懐かしい…)




オフィスのビルの前

「桜子…?」

目の前には桜子の名を呼ぶ
彫りが深くハーフのような美形
短髪
長身で細身のスーツを纏った男性がいる

「っ…ケイジ…」
桜子の足は止まり
その男性の名を口にした
(何でケイジがいるの…)

「桜子…」

「何でケイジ、ここにいるの?」

「俺の会社ここの隣のビル、今週アメリカから帰ってきたから。お前は?」

「私の会社、ここ」

ケイジはポケットから名刺入れを取り出し
一枚彼女に手渡す
「これ、俺の名刺」

「あ、ありがとう」
両手で受け取る桜子
彼女も鞄から名刺入れを取り出し
一枚差し出す

彼女の左の薬指をケイジは見つめ
「ありがとう。お前、結婚したのか?まぁ、そんな歳だもんな、お互い」

「ううん、独身」

「え?独身?」

「うん」

「そうか。今度飯でも付き合え。携帯、名刺に書いてあるから」

「私、彼氏いるし」

「結婚してないなら飯くらい付き合え。お前はそれくらいしてもいいはず、だろ?それじゃ足りないくらいだけどな」

彼女には抵抗できない理由があった
「わかった…」

「それじゃ、連絡待ってるから。今度は逃がさないから」
笑顔だけれど目の奥が笑いきれていない彼

「また、ね」

「連絡がなければ俺からするからな」
少し物悲しいような表情を浮かべる

「…」
何も言えずただ呆然と立ち尽くす桜子

「それじゃ、また」
足早に隣のビルへと向かうケイジ


我に返った桜子は急いでオフィスへと
(なんでケイジと会ってしまったんだろ。よりによって職場が隣のビルだなんて…)



「おはようございます」
自席へ着く桜子

渡された名刺をデスクの上へ
(二十年以上も経ってるのに、ケイジ、大学時代と変わらなかったなぁ…)
懐かしさと罪の意識で
彼女は胸が締め付けられるような思いにかられる

「桜子さん、おはよう!」
年齢よりも若く見える大きな瞳の野沢が笑顔で彼女に話しかけ

彼女は現実に引き戻される
「あぁ、野沢ちゃん、おはよう」

一枚の紙を差し出し
「桜子さん、今日の飲み、ここにしたから」

彼女は受け取り
目を通しながら
「うん、わかった」
(翔に後で連絡しないと)








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