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甘い風
第12章 揺れる
ーー昼休みーー

桜子は野沢から渡された店の名前と住所を翔にメールする

(翔、迎えにくるって言ってたけど、お店の中にも来るのかな?
未成年が一人で居酒屋ってわけにもいかないし、外で待ってるように言っておいた方がいいのかなぁ。
でも終わる時間もわからないし。どうするべきかなぁ)





タケルと共に学食で昼ご飯を食べている翔
「あ、桜子からメールだ。彼女から初めてメール来た」

「え?付き合って一週間以上経ってんのに初めて?」
不思議そうにタケルは訊ねた

「うん、そういうところがやっぱり他の女と違うんだよな」

「まぁな。大概の女は、メールだのラインだのガンガン送ってくるもんな」

「そう、うっとおしい。こういうところがやっぱりいい女の余裕なのかもな」

「翔ちゃんが夢中になるわけね」

「うん」

「なるほどねー」

「今日さ、アイツの会社の男が桜子を飲みに誘ってたから、店教えろって言っておいた」

「二人で飲み?」

「あと、後輩の女。三人で飲み」

「まぁ普通のことじゃね?会社の同僚と飲むって」

「その男がアイツに気があるみたいなんだよね、何回か彼女を誘ってるの見たことあって」

「誘いたくもなるだろ」

「まぁ、桜子は相手にしてないけど。虫除けに彼女の左の薬指に指輪プレゼントしたわけ」

「この前の指輪だろ。で、あれ、Hだろ?」

「うん、当たり」

「やっぱセンスいいわ」

「ハイセンスなモデルのタケルくんに褒めてもらえるなんて、僕は幸せ者ですよ」

「なんだよ、それ」

二人で笑いあいながら昼時が過ぎていった






「私、仕事終わるけど、里優ちゃんは?」
桜子が里優のデスクで話しかける

「あともう少しです。先に行ってますか?」

「ううん、待ってるわ。何か手伝えることある?」

「大丈夫です!ありがとうございます」

桜子はデスクに戻り朝ケイジから渡された名刺を見つめる
(会わなきゃ良かったのに。もう十分すぎるくらい反省はしたわ、泣けるほどに。会わなきゃ良かったのに…胸が痛い…)

野沢が桜子のデスクへ来て
「桜子さん、お疲れっ」

「野沢ちゃん終わり?」

「うん、終了ー」

「じゃ、悪いんだけど一人で先に行って始めてて」

「了解」
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