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甘い風
第12章 揺れる
明るい日射しがカーテンの隙間から漏れ
二人を照らす
光に刺激され翔は瞼を開ける

横で眠る桜子は翔の腕に自身の腕を巻き付け
指を絡めて手を握っている

そんな彼女の姿を愛しいと感じ
彼自身が満たされる

壁の時計を確認すると
(まだ7時か…)

また瞼を閉じ柔らかな眠りの中へ




(…ん…もう朝かぁ…)
瞼を開くと横には温かい翔の身体
細いけれどしっかりと筋肉のついた長い腕に絡みつくように眠っていた自分
(あったかい…)

彼の手を繋いだまま仰向けになる

(…ああ昨日は酔ったなぁ
なんでケイジに会っちゃったんだろ

あの時、私はなんでケイジから逃げたんだろ…
もう記憶もあんまりないなぁ
ただ一人で寂しくなると彼をいつも思い出してた
ケイジは優しかったなぁって
なんで私あの家を出ていったんだろって…

あ、そうだ…

あの頃のケイジは優しかった
けど…
それは彼の弱さを優しさと思ってた

私はそれはケイジの優しさじゃなく
弱さだってことに気付いちゃったの…
そうだ…気付いちゃったから
イヤになったんだ

その弱さを見守ることなんて
あの時の私にはできなかった

この人はただ弱い人なんだって

人を愛することができない私のせいで
ケイジを傷つけた

ただ誰かに救われたい
ただ誰かに抱きしめてもらいたい一心で…
私はケイジを利用した…のかも…)

自らの心と対峙し愕然とする桜子

翔の温かい手をそっと放し
ベッドルームから出ていく

ガウンを羽織り

バルコニーへ

冷たい白いアイアンの椅子に腰掛け
タバコに火をつける
フーッ
彼女の心の中の靄が唇から吐き出されるように
白い煙が唇を伝って外へのぼっては消えていく

(あれから時は過ぎた…
十分すぎる程に私は年齢を重ねた
もう中年って呼ばれる歳よ…
そんな私が少年をこのまま縛り付けていいの?
私は彼から逃げずにいられる?
翔なら大丈夫かな…
私よりも愛を確実に知ってる人
穏やかな
人を見守る愛を知ってる人

考えても仕方がないか…
ただ私は今を生きるだけだから

あぁ日射しが暖かい)

立ち上がった桜子のガウンの裾を
フワリと暖かい風がイタズラする

フーッ
タバコを消し
ダイニングへ

(【美味しい水】でも聞こうかな…)
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