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甘い風
第13章 今
「タケルくん、嫌いな物ある?」
髪をクリップでまとめあげた桜子

「ないでーす」
無邪気に答えるタケル

ーーパターー
「何作ってるの?」
翔が戻り桜子を見下ろしながら問いかける

「手巻き寿司とサンドイッチどっちがいい?」

「タケルは?」

CDを手にとりながら
「どっちでも」

「俺はサンドイッチがいいかなぁ」

「わかった。じゃ、サンドイッチで。あとは適当に」

「うん、ありがとう」
彼女の腰へ手をやり
さらっと撫でてダイニングソファーへ

「桜子さん、おもしれー!あははは」
急にタケルが笑い声をあげる

「ん?何?私の何が面白いの?」
作業していた手を止め
CDを見ているタケルを見詰める

彼は髪を結びながら
「だってさー、サンドイッチと手巻き寿司って凄い振り幅じゃね?手巻き寿司と海鮮丼とかなら具が同じだからわかるけど。サンドイッチって。ダメ、まじウケる!」
ぶはっと吹き出しながら笑う彼

「ね、ほんと、面白いでしょ、桜子の発想」
翔も笑っている

「そうなの?そんなに面白いの…?ふぅーん」
あまり気にもせず準備をすすめる

「なんかノリノリの聞きたい」
ソファーに座っている翔

「何系?」
桜子

「んー、爽やかノリノリ系」


タケルが「これ聞きたい!」とCDを一枚

「あ、それ、いいね!アングラのテクノ系だよ。
同級生のライヴに行った時にいいなぁって思って。色んななバンドがいたんだけど、これは買いたいって思ったの」


食事ができあがり
ダイニングテーブルへ
窓を開け放ちレースカーテンがほんのりと波をうつ

暖かな日差しが全てに影を作らせる穏やかな時を過ごす

桜子の大学生時代通っていたグラブの話や
モデルをしていたこと
ほんの少しの生い立ち

タケルの両親の離婚話
モデル生活

翔の昔の話

皆それぞれの話題で盛り上がり

少しタケルは桜子と一緒にお酒を飲み

あっという間に
赤い空となっていった





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