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甘い風
第14章 慟哭
オフィスビルを出ると
カツカツと家路を急ぐ桜子

「…?…」

背後から腕をつかまれ
振り返る

(何?)

「ケイジ…」

笑うことなく彼女の腕をつかみ
伸ばした長い腕を引き寄せ
「付き合ってくれ」

「何?なんで?」

無言のまま扉を開けた黒いセダンの後ろに彼女を押し込める
ケイジもその横に座り

「このまま家へ行ってくれ」

「かしこまりました」

動き出す車

「少し手荒だったが、桜子、ゆっくり話がしたい」
窓の外を眺める目は憂いに満ちている

「私、帰る。話しても、終わったものは終わったものでしょ」
ケイジの切ない横顔を見詰める桜子

「お前の中では。な。これ以上手荒なことはしないから安心しろ」
ビル街の灯りを見詰め続けるケイジ

「私にどうしろって?」
俯き窓へ視線をうつす

「会話だよ、会話。コミュニケーション」
窓から横にいる桜子へ視線をうつす
美しく灯りに浮かびあがる顔は
哀愁を帯びた大人の顔

「なんで今更…」
彼女はまた俯き
すぐさま顔をあげる

「お前、泣くなよ。なぜ泣く?昔からその仕草、変わらないな」
腕を伸ばそうとするが
すぐに自分の膝の上へ戻すケイジ

「お待たせいたしました」
運転席に座る男はドアを開け小走りに
ケイジの近くのドアを開ける

ケイジは車の外へ
運転手へ一言言葉をかけ

桜子の側のドアを開け

「来い」
彼女の腕をつかみ車の外へ

力なく歩く桜子

「安心しろ、惚れている女に手荒なことはしない」
彼女の腕を掴んだまま
自宅へと連れ去る


玄関ドアを開け
彼女を先に
ケイジは後から入り鍵を閉める

「怖い、ケイジ…」
彼が掴んだ腕をほどき
パンプスを脱ぐ

「こっちだ」
彼も靴を脱ぎ彼女の背中に腕をまわし
灯りを次々とつけ部屋へと連れていく

広いリビング
ソファへ長い脚を投げ出し座る
彼女はソファ前で立ち尽くし
「話って、なにも…ない」

「ダメだ、座れ」

少し距離を持ち
ソファへ座る桜子

「何か飲むか?」
テーブルに置き去りのグラスへ
バーボンを注ぎ
一気に流し込む

「うん、じゃ、それ私も。今の状況、飲まなきゃいられないわ」

彼女の前へ空にしたグラスを置き
またバーボンを注ぐケイジ
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