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甘い風
第14章 慟哭
「バレたかぁ」
少し笑みを浮かべ桜子は湯槽に顔をつける

「わかるよ、お前、素直過ぎるから」
後ろ向きの彼女に頭からお湯をすくってチョロチョロとかけている翔

「うふふ」

「照れ笑いでしょ。ちょっと本心つつくとすぐにそうやってごまかそうとするよなぁ」
彼女の肩を後ろから両腕で抱き締める

「翔はなんでもお見通しだね」

「お前のことはなぁ」
彼女の肩に顎をのせる翔

「恥ずかしいなぁ」
項垂れる桜子

「分かりやすくて可愛いよ」
うなじに唇をつける

「分かりにくいと思ったんだけどなぁ」

「お前が?まぁたまに何を考えてるのかわからない時はあるけどねぇ」
うなじに何度も噛みつく翔

「わかりにくく自分でガードしてるのかもね」

「そうだな。どこかで自分をわからせたくないって怖がってるのかもな。あ、明後日オヤジと会うからね、忘れないで」

「うん。何着ていけばいい?」

「いつもの会社の感じでいいと思うけど。会社帰りに行くわけだし」

「うん。わかった」

桜子の唇を自分へ向け
ゆっくりと唇をあわせ
舌をからめる



風呂を出た二人はいつものように食事をし
翔は今日の涙の訳を聞かず
ただそっと桜子の横に
いつもと変わらない翔

(なんて愛を受けて育った人なんだろう。いつまで私は幼少期を引きずっているんだろ)







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