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甘い風
第6章 精算
「いつか誰かとここで一緒にいられるようにって買った。重いよね?そういうの」

「あの男は?」

「入れたこともないわ。何でもないし。ただ、私は彼の気持ちをわかっていながらいいようにご飯食べたり、一緒に飲んだり、利用してた…この家には誰も入れたことはないの」
(ウソは突き通すもの。寂しさ埋める為に身体だけ利用してたなんて絶対言えない)

「俺は?」

「きちんと向き合いたいと思ってる。ただ…」

「ただ?」

「正直、貴方はまだ18歳。これから色んな女性とも巡りあうと思う。私が貴方に溺れて、もしも貴方に捨てられる頃には、十分過ぎるくらいおばさんになってると思う」

「誰がお前を捨てるなんて言った?あの男の言葉信じるのか?俺よりもアイツの言葉、信じるのか?」

「そうじゃない。私自身も私のことがよくわからないの。怖いの。どうしようもなく怖いの、何も知らないのにこんな風に受け入れて…」
(飽きてしまうかもしれない自分自身も怖いの)

「ベッド行こ、ゆっくり話そ」
彼女の肩を抱きながら
(なんで俺、18なんだろ。なんでもっと早くうまれなかったんだろ)
「な、ベッド行こ」

それが彼なりの男らしさで
どうしていいのかわからない自分を悔やんでいる

「うん、なんかごめんね」

肩を抱かれたまま力なく歩く彼女

(ダメだ、俺、どうにかしてやりたいのに…)

廊下にのびる
月明かりの二人の影は一つに重なりあっていた

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