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月 ~優香~
第5章 優香のペース
彼女は、
俺の腕に自分の腕をからませ、
そのまま促すように店を出た。


道路に出ると、タクシーを捕まえた。


「乗らないの?」


「あっ。乗る。」


間抜けな返事をして、
彼女の隣に座った。



彼女が、有名な高級ホテルの名前を告げる。


あの男、知り合いだったのか?

そのホテルは、優華の泊っているホテルなのか?

それより何より、これは、俺の誘いにのったということなのか?


俺は、今起きていることに、
頭がついていけず、
ボーっとしてしまった。



「降りて。」



彼女の声で、我に返る。

俺は、バカみたいに、彼女の言いなりだった。



エントランスを通り、エレベーターに乗る。

彼女はルームキーを差し込み、28階を押した。


スイートか?


確かに、彼女は品が良い。

持っているものもそれなりのブランドだ。

だが、左耳のピアス以外、貴金属はつけていない。

マニュキアも塗らないその指先や、
フォーマルとは言えないその服装からは、

とてもスイートに泊るような身分には思えなかった。
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