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月 ~優香~
第3章 玉砕
「もう一杯いきますか?」


バーテンが、笑いをこらえながら、俺に声をかけた。



ちきしょ~。



俺は席を立つと
優華の隣の席に座り、
声をかけた。


「俺は、直也。

何の本を読んでいるの?
面白い?」



「そうね。」


「家は近く?

昨日もこの近くにいたよね?」



「そうね。」


「せっかくだし、
一緒に飲まない?」



優華は、読んでいた本にしおりを挟むと、
カウンターに置いた。


椅子を回転させて、
体ごと俺の方に向けた。


そして、俺のイスを掴むと、
クルットまわし、
俺を優華の正面に向けた。


俺は、初めて、優華を正面から見た。


 抱きたくなる女だ。


均等の取れた目鼻立ち、
バランスのいいしなやかな身体。


服の上からでもわかるくびれた腰。


椅子から延びた長い脚を、
タイトスカートがひざ下まで隠していた。


ヒールの上に、
きゅっと締まった足首が覗く。



どこをとっても、俺を誘っているようだった。



あぁ、この腰を抱きかかえたい。

スカートで隠れた膝を、露わにしたい。




俺の視線を咎めるかのように、
優華が少し足を動かした。



俺は下心を見透かされ、
あわてて視線を上げた。
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