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写性 …SHASEI…
第16章 薔薇
嫌ではなかった。大人の仲間入り、それは私が最も望んでいたことだった。

私はお父様が結び易いように体の向きを変えて応えた。

胸の上下を腕ごと結わえられ、後ろに持っていった手は、反対の肘を掴んだまま結わえられていった。

縄、というか帯締めという着物帯の上に締める紐は、私の首にも回る。そして脚の間を通ったものがお腹の紐と結ばれた。

亀甲縛りと股縄という縛り方だと教わった。

そして太ももも左右ぴったり合わせられ縛られていった。

歩けない、手も使えない。

お父様が私の腰を掴んで持ち上げ、お人形のように運び、アトリエの日差しを考えてそっと下ろす。

きちんと立てているか確認しながらそっと手を離された。

「疲れたら言うんだよ。」


そう言ってお父様が筆をとる。
脚がぴったりついていて、手も後ろに縛られ、その状態でただ立つのも大変だとわかる。


いつもなら、お父様が心配するほどポーズを取っていられるのに、ふらふらとして立っていることに疲れてしまった。


「お父様…」

「疲れたかな?」

お父様はすぐに、私のところに駆け付けて、私を抱えあげ、ソファーに横たわらせてくれた。

全身を優しく撫で毛布を掛けてくれる。
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