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痴漢脳小説 ~秋津高校サッカー部~
第6章 少女達の気持ち
「で、でも美緒ちゃんはヒデのこと」

 この期に及んでまだ言い訳めいた言葉が出る口が恨めしい。

「…サッカー部が強くなれば、先輩は嬉しいですよね?」
「え、うん…嬉しいよ」

 いつの間にか美緒ちゃんの俺の呼び方が「キャプテン」から「先輩」に変わっている。

 きっと美緒ちゃんは中学の頃からずっと「先輩」と俺に呼びかけていたんだろうな。
 いつだったか一度、たった一度だけ「先輩」と呼びかけられたことがあったような気がする。

 ごめん美緒ちゃん。俺、全然覚えてないや。

「だから…ですよ」
「え?」
「ヒデさんの調子がよくなればサッカー部も勝てると思って。そしたら先輩喜んでくれるかなって」
「…だからヒデとあんなこと」
「あんなこと?」

 視線に力を込めて俺を見る。失言だった。
 ヒデと美緒ちゃんのしていることを覗いたことがある。もちろん彼女はそれを知らない。

 ふっと目に込められた力が和らいだ。少し寂しそうな、そんな色が代わって浮かぶ。

「…ううん、いいんです。みんなの前であんなこと言っちゃいましたからね」

 あんなこと、とは夏の予選の敗退直後の、ヒデが痴漢を告白した時のことだ。

 私を触って。

 美緒ちゃんのその時の言葉は、いろんな意味で男子に強烈な刺激を与えた。

 あの時の美緒ちゃんはどんな顔してたっけな…
 その言葉が刺激的過ぎて、俺の頭に残っているのは美緒ちゃんとのエッチな妄想。それと部室裏から覗いたヒデとの行為。

 それだけ。

 どこまで俺は美緒ちゃんを性欲の対象としてしか見ていなかったんだろう?
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