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痴漢脳小説 ~秋津高校サッカー部~
第7章 目指せ全国! 選手権予選開始!
 ヒデはひとつ頷いた。

「みんな、少しいいかな」

 その言葉に全員の目が集まる。

「みんな今までありがとう。僕についてきてくれて。僕を信用してくれて。
 インハイ予選のあの日からも、ずっと僕を仲間に入れてくれて。
 本当にありがとう」
「何や急に。最終回みたいなセリフやな」
「僕にとってはそれ以上だよ。僕はここでサッカーが出来なかったらもう他に行くところがなかったんだ。本当にみんなには感謝しているんだよ」

 例えば、とヒデは言う。

「僕の勝手でフォーメーションもスタメンも変えた。でもみんなそれに文句も言わずに練習をしてくれた。
 二年生のイソ君と山西君もスタメンから外されても、ずっとチームに貢献してくれた。
 僕達スタメンが力一杯戦えるのは、二人がベンチにいてくれているからだ」

 MFイソとDF山西。春まではレギュラーだった。今ではベンチメンバーとして控えにまわっている。
 二人が生き残るため、そしてチームに貢献するために選んだ道は、ひとつのポジションのスペシャリストになることではなく、どのポジションでも出来るようになることだった。

 攻撃的なポジションならイソ。元々天才肌の男で何でも器用にこなせてはいたが、ヒデが来てからはずっとそのプレイを目で追い、盗める技術は盗み、ますますユーティリティーさに磨きをかけた。
 スピードが通用しない時、攻撃の手が詰まってしまった時。いつも頼りになるのがイソだった。

 入部時にサッカー初心者だった山西は、抜群の運動神経を持っていた。その運動神経でみるみるサッカーの動きを吸収していった。
 まだまだ攻撃力に不安は残るが、守備ならセンターでもサイドでも、どこでも任せることが出来る。
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