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第7章 目指せ全国！　選手権予選開始！

「本来のポジションから変更させられた人もいるよね。きっとプライドもあったと思う。
　でも、そのプライドを捨てて新しいポジションに順応してくれた。それがチームに新しい力を与えてくれたんだ」

　ボランチからセンターバックに転向したタモツと本多。
　守備時にはセンターバックの井口の前に並び壁を作り、攻撃時にはぐっとラインを上げ、攻撃の基点となるヤスと近い位置での三角形を維持し、ゲームメイクをサポートする。

　ヤスは今では「チームの攻撃のスイッチ」を握る男になった。
　ただ大きいだけのFWだったヤスが、立派な司令塔としてチームに君臨している。広い視野から放たれる正確なパスと、強靭な体を活かした守備でチームに欠かせない男になった。

　ワントップに据えられたヤマは、今までとは違い攻撃の主役となった。
　脇役を任じていた頃には潜んでいた点取り屋としての才能は、いよいよ大きく開花している。

　MFからサイドバックにコンバートされた北村は、持ち前のスタミナで激しいアップダウンを繰り返し、攻守にチームを活性化させている。

　オカはますますスピードに磨きがかかっている。五十メートル走のタイムに大きな違いはないかもしれないが、スタートとトップスピードに到達するまでが明らかに早くなった。
　サッカー初心者だったオカは、今では攻撃の核となった。

　ポジションの変更がなかった選手達も、それぞれの特色を活かしてチームに貢献している。
　左サイドバックの津奈木は常に大きな声を出してチームを鼓舞している。ゴールが決まった時、誰よりも大きく喜んでくれるチームのムードメーカーだ。
　スイーパーとして最終ラインをコントロールする井口は冷静な判断でチームの危機を救い、静かな闘志を燃やすGKドラゴン松茂は、予選でここまで無失点という快挙を成し遂げている。