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第9章 ヌードモデル ー絵画教室ー

渋滞を抜け、恋人の勤める、絵画教室に辿り着いた春香
中に入ると、エントランスに雅美がいた。

「雅美っ！」
駆け寄る春香
「あっ！春香、早いじゃん」
「巧さんは？」
「もうじき、授業が終わるわ」
「無事なの？」
すると、教室の扉が開き、生徒達がぞろぞろと出て来た
その中に巧の姿を見つける
春香に気付き、巧がエントランスにやってきた
「巧さん無事なのね」
巧の元気な姿に、安堵する春香
「春香、来てくれたんだ有難う」
春香に抱きつく巧
生徒達の視線が集まり、エントランスがざわつく
「ちょっと巧さん、皆が見てるわ」
「お二人さん、お暑いこと」
二人を茶化す雅美。

３人は、巧専用の工房に移動した
その部屋の壁には、沢山の絵が飾られていて、全て裸婦像だった
春香を見つめる巧
「やだっ私！」
慌てて化粧もせず、着の身着のままで、やって来た事に気付く春香
「素顔も綺麗だよ、春香」
巧の言葉に、頬を赤らめる春香
「私、お邪魔かしら」
雅美がにやけ顔で言う
「そうだ雅美、何が大変なのよ？」
思い出したように、雅美に詰め寄る春香
「そうだ、大変なのよ！ねぇ巧さん」

巧が神妙な面持ちで、話し始めた
「実は、午後の特別レッスンに呼んでいたモデルさんが、急遽来れなくなったんです」
巧が指導する人物クラスは、今日、予約制の特別レッスンを行う事となっていた
内容は、二人のヌードモデルの、鉛筆を使ったデッサン
日曜日開催という事もあり、定員の20名は一週間前に予約で埋まっていたのだが
朝、モデルの一人から、風邪で来れないとの連絡が入り
そして、もう一人のモデルは、階段から落ちて怪我をしたとの連絡が入ったのだ。