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第10章 夏の夜の奇跡 ー自慰夢想ー

大男の名は、安部弘也（あべひろや）51歳
189㎝の長身で、なかなかのイケメン、性格は実直で仕事熱心
運転代行サービスに勤める
そして、もう一つの顔、超高級エステサロンの特別スタッフでもある。

この大男、つくづく不運な男であった
三流大学卒業後、大手電子メーカーに入社
24歳の時、上司の愛人に誘われるがまま関係を持ち、本社から地方へ飛ばされる
30歳、地方の3支社を経て、本社勤務に復帰
33歳の時に、取引先の専務の娘（10歳年下）と結婚、女児を授かる
同期の中では一番仕事が出来たが、出世をしていくのは、一流大学を出た者達
それでも、愛する妻と娘の為に、仕事に打ち込み
50前にして、やっと部長職に就いた。
しかし、会社はその３か月後に、ライバル社に吸収合併されてしまう
そして、人事異動が行われ、安部は課長へと降格
落ち込む安部に、さらに悲劇が襲う！
愛する妻と新しい上司の、浮気現場を目撃してしまう
その後、会社を辞めて家も出て、今はボロアパートに一人暮らし。

客待ちの安部は、再びタバコに火を点けた
夜空を見上げる安部は、一年前の事を思い出す。
...
それは、愛する妻の浮気現場を目撃したこと
しかも相手は、安部に代わり部長として、新しくやって来た年下の上司
妻は夫の部長復帰のため、上司と酒を飲み、安部が寝ていた公園に現れた
そして、安部の目の前で、上司のセクハラ行為を受入れていた
上司のセクハラ行為に発情した妻は、ホテルへの誘いを受入れ、消えて行った。

安部にとって、この上ない怒りと悲しみを感じた、思い出である。