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君へ贈る愛の唄
第4章 相合い傘
拓也が私から離れてしばらくすると、
「ねえ彼女、ひとり?」
園内のパンフレットを見ていた私の頭上から突然声がして、
「えっ」
驚いて見上げたら見知らぬ男の人が2人立っていた。
「僕達とボートに乗りませんか?男二人じゃ寂しくて、なぁ?」
「うん、そうそう」
2人はチャラチャラして遊び人風。私はどうしたらいいのか、ただ固まってしまった。
その時、こっちに早足で歩いてくる拓也の姿が。
「あの私っ、1人じゃないんです。もうすぐ戻ってきますから」
「誰?お友達かな?だったら一緒に、」
1人の男が言い終わらないうちに遮る声。
「すみません!その子、僕の彼女なんで」
…!!
「…なーんだ、彼氏さんがいたのか。ははっごめんね、じゃあ」
2人組はさっさと立ち去って行った。
そして拓也は怒るように言う。
「母さん!ああいうのが近づいてきたら、さっさと逃げろって」
「そうなんだけど…」
「だけど何?全く危なっかしいんだから。はい」
「ありがとう」
私は隣に座った拓也を、いつも以上に頼もしく感じていた。
僕の彼女って言葉が、くすぐったくて…嬉しくて。