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君へ贈る愛の唄
第4章 相合い傘
「そろそろ、帰ろうか」
「そうね」
目いっぱい楽しんだ私達。気がついたら遠足の団体もいなくて、まばらな人々も帰り支度をしていた。
ポツリ、
「雨だわ」
私はバッグから、折りたたみ傘を出して広げた。
「オレが持つ」
「ありがとう」
傘は小さくて、寄り添わないとお互い濡れてしまうほどだった。
「拓也、もっとゆっくり歩いて?」
私は拓也を見上げて言った。
「お、わかった」
雨の中を静かに並んで歩く。
ねえ拓也。
私今日は、とっても嬉しいんだ。
だってここは…
拓也と初めて会った日に、3人で来た思い出の場所だから。
あなたは覚えてるかな?
出口へ向かう私達。
いつしか二人の手は
どちらからともなく
しっかり握りあっていた……。