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君へ贈る愛の唄
第5章 熱
「ゴホンッ」
午後になると、私は咳に加え頭痛までしてきた。それで熱を計ったら、39度もある。
どうりで体がだるいはずだわ。
私は家事の手を休めてベッドに入った。
頭いたい。
う…これは本格的にひいたかも。
目を閉じると…いつの間にか私は眠ってしまった。
ーーーー
『母さん、オレが今付き合ってる子だよ』
ある日拓也が家に連れて来た女の子。
『こんにちは〜』
『拓也がお世話になってます…』
2人は楽しそうに拓也の部屋へと入ってゆく。
『母さん、悪いけど入ってくるなよ』
『え、どうして?』
『どうしてって、わかるだろ?』
『…拓也、待って!』
母さん、まだ心の準備ができてないのよ。
あなたに彼女ができるなんて。
バタン!と響くドアの音に
私は茫然と立ちすくんだ。
ーーーー
「…う、ひっく……ぅ」
なんて夢を見たんだろう。
胸の鼓動が苦しくてたまらない…。
ずっと、拓也の成長だけを願ってきた。
修二さんに誓ったの。拓也を立派に育ててみせますって。
いつかは私から巣立ってゆくんだ。
それなのに
わかっているのに……。