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君へ贈る愛の唄
第8章 一歩前進
私はリビングへ行き、テレビを観ている拓也の横に座った。
今日も一日が終わろうとしている。
拓也がテレビから目を私へ向けて言った。
「母さん」
「何?」
「やっぱり、働くのやめてくれない?」
「え、どうして?あさって面接に行く事になってるのに」
「頼むからさ。
今までもオレのバイト代と、父さんが遺してくれたお金でなんとかやってこれただろ?」
「そうだけど…」
「オレが来年就職したら、もっと楽させてやれる。だから今は家にいて欲しいんだ」
「拓也…今日何かあったの?」
「いや、別に」
くすっ。
「なんだよ」
拓也はちっとも変わらない。
「そんなに、母さんが心配?」
「うん。すっごく心配」
「そんなに母さんが、好き?」
「あたりまえっ…」
拓也の手が伸びて、私を引き寄せる。
あっという間に私はすっぽり拓也の胸におさまった。
そして、ドキドキ鳴ってる私の胸。
あの夜以来、私達は毎日キスを交わすようになっていた。