この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
君へ贈る愛の唄
第8章 一歩前進
「あの、」
そしてさやかは顔をあげると、オレの目をじっと見て言った。
「ん、なに?」
「一条さんは今付き合ってる人、いますか?」
「ぶっ」
オレは思わず飲み物を吹き出しそうになった。
「…気になる?」
頷く彼女。
「いると言えばいるかな」
「やっぱり、いるんですね…」
その表情に確信したオレの胸が、チクリと痛む。
「ところでキミ、すごくモテるんだね。よく客から言い寄られてるでしょ」
「っ…知ってたんですか?」
「うん。あんまりしつこいヤツいたら教えてね?店、出入り禁止にさせるから」
「はい…」
オレは前からさやかの気持ちが、
なんとなくわかっていたんだ…。