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君へ贈る愛の唄
第10章 ♪恋人達のペイヴメント
夕方。私は珍しく拓也のバイト先を訪れていた。
どこだろう拓也は…?
私はキョロキョロと店内を見渡す。
あっ、いたいた。
きびきび働く拓也を見つけると、私は物陰からそっと覗いた。
家にいるときとはまた違う、真剣な顔だ。
売り場リーダーだって言ってたっけ。
信頼されてるんだね。
「ふっ…」
それだけで満足した私は、もう出口へ向かう。
その時。後ろから駆け寄ってくる気配に、私はハッとし振り向いた。
「っ…拓也」
「来たのなら一言声かけろよ」
くったくのない笑顔。
「あ、気づかれちゃったね。スーパーへ行くついでに、寄ってみたの。拓也は頑張ってるかなーって」
「ふーん。そんなにオレに会いたかったんだ?」
「そ、そうよ。悪い?それじゃあね」
「ああ。気をつけてね」
私が頷くと拓也は私に軽く片手を上げ、足早に戻って行った。