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君へ贈る愛の唄
第10章 ♪恋人達のペイヴメント
12月初旬の外気は、風がとても冷たくて。
私はマフラーを巻き、自転車置き場まで歩いた。
カチャッ、
義母は午前中に帰って行った。
ーーーー
「すみませんお義母さん。やっぱり私、お見合いはできません。
ですが、この家から出て1人で生きていくつもりです…」
「ほんとに、それでいいのね?」
「はい。それでお願いがあります」
「何かしら?」
「24日のクリスマスイブまで、待って貰えませんか?
拓也と、最後の思い出を作りたいんです…」
「ええ、もちろんいいわよ。
彩音さんっ、私を許してちょうだい。私だって、辛いのよ…ほんとにごめんなさい…」
「いいえ…大丈夫です」
「っ!」
義母は私をきつく抱きしめた。
ーーーー
自転車を走らせながら、私はまた泣いてしまう。
「う…グスッ…」
拓也、ごめんね。
あなたにはみんなから祝福される、そんな当たり前の人生を送って欲しいから……。