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君へ贈る愛の唄
第12章 守るべきもの
拓也side
オレは1人、会社のパソコンに向かっていた。
総合商社に入社して約3年。
最近は重要な仕事を任されるようになり、忙しいながらもやりがいを感じる日々を送っていた。
「もうこんな時間か」
時計を見ると、午後9時を回ったところだった。
目に疲れを感じ、眉間を指でつまむ。
母さんがいなくなった後、しばらくは落ち込んでいたオレだったが、良太の励ましもあってどうにかここまでやってこれた。
でもいつしか仕事に追われ、母さんを捜す心の余裕が失われつつあるのも、確かだった…。
ふぁ…。なんだかウトウトしてきたな。
ーーーー
《…たく…》
「っ、オレを呼ぶのは誰だ?まさかその声は、父さんなの!?」
《…そうだ。おまえが心配でな…》
「心配?」
《…いつまでそうしているつもりだっ…》
「えっ」
《…おまえは1番大切な人を忘れてしまっている…》
「そんなことは…」
《…いいか、あやを守ってやれるのはおまえだけなんだよ…》
「父さん、オレ」
《…わかってる。だから早く、早く行け!…》
「待って、父さんっ」
《…あやと幸せに、たく…》
ーーーー
ピピッ、
はっ!
その時携帯が鳴った。