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愛しては、ならない
第48章 喪われた記憶と


悟志は、清涼感を漂わせる笑顔を私に向け、囁く。



「夢の中では……二人だけの式だった……協会の祭壇の前で……君のヴェールを取って、キスをしようとするんだ」

「ん……ん……」

「けれど……僕が君にキスをしようと身を屈めると……君は砂になって崩れて……
この手の中には……白いドレスだけ……」

「……っ?」



悟志の瞳の中に、とてつもない悲しい色が浮かぶ。

少し動きを緩やかにし、私の耳朶を噛んだ。



「……っ」



電流の様な甘い刺激に身を縮めると、悟志は一旦腰をぎりぎりまで引き、一呼吸置いてから最奥まで沈み込ませる。



「ああああ……っ」

「答えて……くれ……菊野……っ
今……この手が……触れているのは……本当に……君なのか?」

「んっ……ああ!」


――私は、あなたの妻の菊野よ、と答えようとするが、彼の指が蕾へと侵入してきて、喋れなくなってしまう。


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