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愛しては、ならない
第56章 二十歳の同窓会



菊野はあの時、森本との事を否定も肯定もしなかった様な気がする。

俺も頭に血が昇っていたし、正常に判断も出来ていなかったかも知れない。それに、記憶もあやふやな様な……

清崎にも聞いて確かめたかった。だが俺は結局あの後、学校に戻る事なく転校をしてしまい、西本の家にも一切足を踏み入れていない。

彼女があの家に俺を訪ねてきた、という話を祐樹からも聞いていた。

スマホにメールも寄越したのかもしれないが、俺はあの頃、ふと激情に駆られてスマホを投げつけて叩き割ってしまったのだ。

だが、彼女に何を言ってやれば良いのか分からず、こちらから連絡を取ろうともしなかった。

付き合っているようないないような状態のままで、うやむやにされて、転校してしまった俺を彼女は恨んでいるかも知れない。

きちんと話をするべきだった――と、思うが、あの頃俺は自分の事で精一杯で、清崎の事まで考えられなかった。

森本なら、彼女と連絡を取っているかも知れない。

遅いかも知れないが、一言謝りたいと思った。

そして、森本に聞きたい事――どうしても確かめずにはいられない。





――お前は、菊野と本当に寝たのか?










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