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愛しては、ならない
第14章 檻の中の愛
彼女の泣き顔は何度も見ているが、今腕の中ではらはらと、静かに涙を流している様に、胸がキリキリした。
――笑顔が好きだ、とかカードに書いておきながら、悲しげな表情に見とれる事がある、等とは口が避けても言えないな……
俺は、指でその涙を掬い、しゃくり上げる背中を擦った。
何故、泣くのだろうか。
俺――俺は、胸が逸って、ときめいて、猛ってどうしようもないのに。
漠然と抱いていた、優しい義理の母への、形容し難い不可解な気持ちが恋だと知って、嬉しいとさえ思っているのに。
菊野は、頬に触れられたり、背中を撫でられる事には抵抗せず、苦しげに泣いているが、彼女に触れている内に身体に淫らな火が灯ってしまいそうだ。