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愛しては、ならない
第14章 檻の中の愛
『ダメ……ダメッ』
あの日、俺にソファの上で組み敷かれ、身体を晒し甘い声を上げた菊野の姿が鮮明に蘇り、一気に掌の中の獣が硬く熱く質量を増して、とうとう精を吐き出した。
「――く……ハアッ……ハアッ……ふ……ふふ……ハハハハ」
堪らない快感と同時に襲われる虚しさと罪悪感と、愚かな自分への可笑しさが込み上げ、俺は低く笑った。
ベッドの上に仰向けになり、溜め息を吐く。
「……俺は、一体何をやってるんだ……」
菊野は、相変わらず優しく、毎日手の込んだ食事を作り、クッキーやケーキを焼き、鼻唄混じりに掃除をしたり、たまに皿を割って悲鳴を上げたりしている。
だが、俺と目が合うと、苦しげに顔を歪めてから作り笑いをする様になった。
その度に、胸を深く抉られる様に傷付く俺は、まるで、清崎が貸してくれた少女漫画に出てくる恋に一喜一憂して泣いたり笑ったりするヒロインと同じで笑える。
意中の人の何気無い仕草や視線の動き、声の調子――
ほんの微妙な変化が気になり目で追ってしまい、そして勝手に一人傷付くのだ。