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愛しては、ならない
第14章 檻の中の愛
俺は、鏡を見て、女の子とのデートに相応しい服装なのか、一応チェックしてみたが、自分ではよく分からない。
寝癖がついているか、何度か頭を振り覗き込むが、急に馬鹿馬鹿しくなり、止めた。
――正直どうでも良い。
今日一緒に出掛ける相手が誰であろうと、心は一ミリも浮き上がらない。
この家から逃げ出す口実になるなら、何の用事でも構わなかった。
菊野への気持ちは以前と変わらない処か、日に日に大きくなる一方だった。
だが、彼女はあれから俺とまともに口も利いてくれないし、二人きりになるのを避ける。
少しでも二人だけの時間があると、俺が迫ろうとするから当然かも知れないが……
『私、貴方が欲しいの!』
施設に訪れ、初めて会った時に彼女が言った言葉を唐突に思い出して、俺はふっと笑う。
「幾らでもあげますよ……
貴女が欲しがってくれるなら……」