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愛しては、ならない
第15章 檻の中の愛②
私は、首を振り、洟を啜る。
「な、ないでないよ」
『どー聞いてもべーべー泣いてる人の声でしょ!?
……ドラマでも見て浸ってたんじゃないの?』
「う、うん……
ぞんなどご」
私は、咄嗟に誤魔化し、そういう事にしておいた。
真歩は、やっぱりね~!と笑い、言った。
『あのさ、あんた今日ヒマ?
私、生徒さんが急病でキャンセルの連絡来てさ、予定無くなっちゃって~』
「……びまじゃないよ」
真歩の誘いに乗る気がしなくて、私は憮然として答えた。
『んっ?
こんな天気の良い昼下がりにドラマ見て泣いてる人のどこが忙しいって言うのよ?
あのね、今日は
"フォーエバー22"のスプリングバーゲンなのよっ!
春先にやるバーゲンは貴重よ?
これに行かないで今年の春をどうやって過ごすつもりっ!?』
「……べつに……
バーゲンにいがなぐでも春はぐるもん……ふんっ!」
私は洟をティッシュで思いきり咬むが、電話の向こうで真歩が大袈裟な溜め息を吐いた。