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愛しては、ならない
第15章 檻の中の愛②



今朝、菊野は躊躇いがちに、俺の予定を聞いてきた。


今日は、祐樹が出掛ける日だが、まさか菊野は俺と二人きりになりたくてその質問をした訳ではないだろう。


二人きりになりたくないから、もしそうなったら気まずいから聞いてきただけの事だ。


確かに、一日二人だけでこの家に居て、俺が彼女をどうこうしない、とは言い切れない。


寧ろ、限りなく彼女の身は危険だろう。


彼女に横恋慕する、性に目覚めたばかりの男と二人で長い時間、同じ空間に居れば、何が起こっても不思議ではない。


ほんの少しの隙でも俺は菊野に迫ろうとするのだから、当然一日中、一緒にいるのが彼女にはとてつもない恐ろしい事なのだろう。


だが俺は、好きという感情を通り越し、時に憎くさえ思う事がある。



彼女の声も髪も、その唇、細い指、魅惑的な曲線の身体の全てを俺は欲しくて堪らない。

感情が先なのか、欲情が先なのか、最早自分自身にもわからない。


だが、俺は菊野を好きだ――


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