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愛しては、ならない
第15章 檻の中の愛②
「剛くん……?
大丈夫?」
ふと、白い指が腕に触れているのに気付き、俺はビクリと身体を震わせた。
清崎が、また心配そうに俺を見ていた。
その表情は、菊野が俺を見詰めるそれと何処か似ていたが、俺は面影を振り払う様に首を振り、溶けかかったシャーベットをスプーンで掬い、清崎の口にそっと押し込んだ。
「ごめんな……今、寝惚けてた。
……お詫びにあげる」
もう一口清崎の小さな唇へとスプーンを運ぶと、彼女は真っ赤に頬を染め、俺を見た。
その瞳は魅惑的に潤み、俺を甘く幻惑する。
清崎は同級生の中でも五本の指に入る人気の可愛い女の子だった。
優等生の彼女は教師の覚えもめでたく、同性にも異性にも好かれていた。
成績の良さや、容姿を鼻にかけたり意識する事なく、小さなどうでも良い事に一生懸命になったりする子なのだ。
皆が面倒臭がる仕事や頼まれ事も、何でもない風に笑ってこなしてしまう。
最初、俺は彼女のそんな所を
"出来すぎたいい子"
としか受け止めて居なかったが、ある事があって見方が変わったのだ。