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愛しては、ならない
第15章 檻の中の愛②
第一、祐樹と俺は物の見方や人の見方がまったく違う。
祐樹は見た物や人を、そのままの印象で受け止めるが、俺は全て裏を疑う癖が付いている。
ひねくれているのだ。
だが、菊野はそんな俺を家族の一員として迎え、分け隔てなく接してくれている。
だから俺は、自分の黒い部分を押し込め閉じ込め、西本家の人々と同じように見える努力はしていた。
ただ、堪らなくそれが疲れる事がある。
似ている、似ていると言われる程に、俺は祐樹との違いを再認識し、胸苦しくなるのだ。
だが清崎は、皆が俺と祐樹をそっくりだと口々に言う中で、
"そうかな……?
私はそんなに似てないと思うけど"
と言ったのだ。
皆はポカンとした後、ブーイングの様に清崎に否定の言葉を浴びせていたが、彼女はあっけらかんと笑っていた。
俺はその時何も言わずにいたが、胸の中に沸き上がる感情に戸惑っていた。
嬉しい、と思ったのだ。