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愛しては、ならない
第25章 離したくない


「貴女を犯そうとしている男に、そんなに優しくしてどうするんですか……」

胸の中のむず痒さと切ない痛みが同時に俺を苛んでいた。

今、菊野はこの腕の中に居る。

胸と腰を覆う布を全て取り去り、この手で、指で、舌で凌辱して、いきり立ったこの自分自身を彼女の中で暴発させたい――


しようと思えば、出来る。

その細い腕が俺の胸を叩いても、蹴りあげようとその白い脚を動かしても、小さな口で腕を噛もうが、俺を止めることは彼女の力では出来ない。


無理矢理に、俺の物にする事が可能なのに。


抱いてしまおう、と決めたのに、目に涙を溜めながら俺を傷付けるのを躊躇う彼女を見ると、強引に組伏せるのを止めてしまう。


――俺は……
貴女には敵わないのか……?



自分が滑稽に思えて、可笑しくなってくる。
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