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愛しては、ならない
第30章 彼しか見えない


「ななな……っ!!
お、お休みのキスなんてしなくても寝れるでしょ?」


冷たい口調で突き放すつもりが、声が裏返り、頬は熱々と火照り、それ処ではない。



「祐樹には……されてた」


「――!!」


彼は、唇を僅かに突きだし、ぷいと横を向いた。

――これは、やきもちなのだろうか?

彼が、祐樹に?


堪らなく彼が可愛らしく見えてしまい、思わずその頬に手を伸ばして触れると、若干頬を紅潮させた彼が目に入り、私の全身は恋に撃ち抜かれる。


こんな気持ちを、誰にも感じたことがない。


抱き締めて頬ずりしたくなる。


そして、彼の全身を愛撫して悶えさせたい。


母性と、淫らな欲情、その二つが同時に沸き上がる。



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