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愛の儀式/私を調教(おと)してください
第3章 鏡の前で

 自慰で果てた夜はぐっすりと眠れる。
夜中に何度も目が覚めることもない。
変な言い方だけど、朝は爽やかな目覚め。
謙二と電話するようになってからは、早めの時間にセットした目覚まし時計より三十分ほど早く起きるようになった。
今日もそう。
一日の始まりだというのに、夜が来るのが待ち遠しい。

 シャワーを浴び、朝食をとる。
熱い珈琲を淹れる合間に着替えを済ます。
テレビを消し、ベッド脇の姿見(鏡)で全身の身なりを整える。
いつも通りの朝。

 セミロングの黒髪、薄い化粧、いつも通りの平凡で地味な私が映っている。
薄紅の唇を見た瞬間、昨晩のことを思い出し、私の身体が熱を帯びた。
初めて見た大人の玩具……男の形をしたそれで私はこの唇を犯した。

昨日の私……すごくやらしかった─────

 ドキドキする、身体が疼く。
自然と手が胸元に伸びる。

 
 


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