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愛の儀式/私を調教(おと)してください
第3章 鏡の前で

 ブラウスの上から乳房に手をあてる。
たまらず「んっ──」と恥ずかしい声が出た。
もう一方の手を下に伸ばす。
スカートの中に手を忍ばせ、ストッキング越しに指でショーツをなぞる。
ビクンと身体が跳ねる。
唇を噛み締め懸命に声を呑み込む。
出勤前だというのに、私はまた恥ずかしい事をしようとしている。

だめっ、私……なにをしてるの────

 激しく首を振っても自分を抑えられない。
頭ではわかっているのに、身体が快感を求めてしまう。

やらしい女ね……。

 鏡に映る自分を罵る。
余計に息が乱れ身体が熱くなる。
鏡に映るのは紛れもなく私……。
この私が──────
昨夜の快感が鮮明に身体を走る。

 「ああっ……」

 吐息とともに声が漏れる。
だめ……我慢できない。
お願い……私を叱って──今すぐ虐めて───

 スマートフォンを手にとり、謙二の名をタップする。
プルルと響く呼び出し音に胸が張り裂けそう。
こんな朝早くから私……。
恥ずかしい、恥ずかしいよ────
お願い……早く電話に出て。

  
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