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戦国×ハロウィン
第1章 ハロウィン本能寺
 


『長宗我部元親の秘策』



 長宗我部元親は、『一領具足』という、農繁期には農民として、農閑期には武士として働く制度を用いて、屈強な土佐の兵を有していた。

「それで、コウモリよ。お前の言う秘策とは何だ? 一領具足を使い、お菓子を先に食らいつくしてしまうとかなのか」

「お菓子はゆっくり食べたいから、それは却下だ。というかコウモリという呼び名はもう確定なのか」

「名前が長いのだ、分かりやすいあだ名の方が親しみを持てるだろう」

「あだ名なぞいらんわ! 大体それはあだ名じゃなくて悪口だ!」

「だが実際、京の貴族共は名前を読めず、『ちょうすがめ』とか『超スケベ元痴漢』とか呼んでおるぞ?」

「もういい、また話がズレる! 名前、そう名前が秘策なのだ!」

「名前が秘策、だと?」

「聞いて驚け、信長よ! なんとこの四国中のお菓子には……全て、私の名前が記入されているのだ!」

「な……なんだと!? 名前を書かれたら、パクっていけないではないか!」

「残念だったな、持ち物に名前を書くのは、大人の基本だぁー!!」

「……まあ、トリックオアトリートだ。お菓子をくれないなら、イタズラでお菓子に書いたお前の名前を、全て『超スケベ元痴漢』に書き換えとくか」

「悪質なイタズラはやめろー!!」




 持ち物にきちんと名前を書きましょう。長宗我部元親は、常日頃からそう心掛けていたそうな。

 余談だが、本当に長宗我部は京で『ちょうすがめ』と呼ばれていたとか。当たり前だが、超スケベ元痴漢とは当時呼ばれていない。痴漢呼ばわりはネットでよく見るネタだが、初めは誰が言い出したのかが気になるところである。

 ちなみに当時の人間は、多少読み方や漢字が間違っていてもさして気にしない性分。きっとそれくらいではヘコまないだろう。さすがに超スケベ元痴漢とか言われたら無礼討ちだろうが。
 
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