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透明な鎖
第2章 秘事
「つーか何回かお前に電話掛けたんだけど」
……電話?
慌てて自分のスマホを見る。
『渚先輩』
そう表示された着信履歴が、数件残っている。
……喧嘩別れしたわけでもないし、忘れなきゃいけないような恋でもなかったから、なんとなく残していた先輩の番号。
同じように、先輩もずっと残してくれてたんだ……。
「ごめんなさい……。気付かなくて……」
少しだけ、胸が熱くなる。
「お前、まだ番号変わってなかったんだな」
そう言って先輩が、口元を綻ばせる。
外もこんなに寒いのに、待っててくれて……本当に悪いことをしてしまった。
「……ほんと、すみません。寒いですよね。入ってください」
そう言って、玄関のドアを開けた。