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透明な鎖
第2章 秘事
 

「マジで入っていいの?」


「え?」



意外な質問にこっちが戸惑ってしまう。



「愛奈、ガード緩いんだな」



先輩が何やら含みを持った笑いを浮かべる。

そんなこと言われたって……



「もう今更すぎますよ、先輩……。寒いんで早く上がってください」


「ハイハイ。そうだな、じゃあ遠慮なくお邪魔します」



先輩は意外にも、靴をしっかりと揃えて玄関に上がった。

……蓮とは違うんだ。
と言っても、ラブホの玄関での所作しか見たことないけど。



「本当に来るってわかってたら、もうちょっと片付けておいたんですけど……」



先輩を一応リビングに通し、ちょっと言い訳をしてみる。
普段から特別散らかっているわけでもないけれど、別に嘘ではない。

一人暮らしには十分な1DK。
片付けると言っても知れてはいるが、来客用に隠したりしたいものがないわけではない。



「十分綺麗じゃん。つか、マジで来るって言っただろ」



室内を軽く見渡しながら、先輩が二人掛けのソファに腰を下ろした。


 
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